呼吸書房
書籍表紙装画:佐野裕一さん

夜が明けると、村に人間は一人もいなかった。少年は、昨日まで人間だった蛾や蝙蝠や蛙の群れを引き連れて、森の奥へ帰っていった。彼らを近くの水辺に放し、昨日まで人間だった様々な種は、すべて母の根元に蒔いた。やがて、その一帯は花が咲き乱れ、蜜に誘われた鳥や獣の歌声で、いつまでも賑わうようになったという。

呼吸書房へようこそ。当サイトでは、私、風野湊による作品を公開しています。
路上で出会った本棚のように、どうぞゆっくりとお楽しみください。

書斎と書店、二つの意味を持つ「書房」の名のとおり、
一部の作品は書籍化し、販売を行っています。
出店イベントや委託販売先でもご購入頂けます。

update:
2024.11.28 新刊『walking postcard vol.11』情報追加、「樹木のバカンス」本文公開
event:
2025.03.23 東京/八王子第10回TAMAコミ 出店予定
blog:
2025.02.28 2025年2月の活動報告

book-list

書籍情報

これまでに執筆・制作した書籍の一覧です。
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とある高名な作家が死んだ。地獄へ落とされた後、彼に科された刑罰は、火の味を描写せよというものだった。「火の味ですって?」「然り」地獄の官吏は作家の眼前に立ち、厳粛な面もちで頷いた。作家は呆れ混じりの微笑を浮かべた。椅子に拘束されていなければ、この生真面目な官吏の肩を叩き、もっとましな冗談を言うようにと諭すこともできるのだが。

profile

自己紹介

ペンネーム:風野 湊(かざの みなと)。1990年4月29日生。旅先で猫を愛でつつ読書に耽れたら幸福。
バックパックにかならず詰めるのは、宮沢賢治詩集、長田弘紀行文、P.ロスファス『風の名前』。
執筆のお供はポメラDM20からMacBook Airに変わりました。書きつづけています。
→もっと詳しく(aboutページへ)

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