呼吸書房

表紙写真撮影:風野湊

枯れ葉に覆われた林床の小道は先へ進むほどに細くなり、曲がりくねり、薄暗くなっていった。日光を奪いあうように樹木たちは巨大化し、はるか頭上の樹冠からこぼれる千々の光は無数の銀河を抱く虚空のようにも見えた。足元から樹冠へ至るまでの長大な距離にあらゆる緑が氾濫している。

呼吸書房へようこそ。当サイトでは、私、風野湊による作品を公開しています。
路上で出会った本棚のように、どうぞゆっくりとお楽しみください。

書斎と書店、二つの意味を持つ「書房」の名のとおり、
一部の作品は書籍化し、販売を行っています。
出店イベントや委託販売先でもご購入頂けます。

update:
2025.12.25 イベント情報更新、寄稿小説「クリスマスを奏でた後に」追加
event:
2026.1.18 文学フリマ京都10|京都市勧業館「みやこめっせ」 1F 第二展示場 B-21 呼吸書房→Webカタログ
blog:
2025.12.31 2025年12月の活動報告

book-list

書籍情報

これまでに執筆・制作した書籍の一覧です。
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ドーリィは、その名が表すとおり、人形だった。陽光を反射し、きらきらと輝く化学繊維で作られた亜麻色の髪。唇は柔らかく、指先で触れればしっとりと吸い付くよう。瞳はとても精巧なガラス細工で、網膜における血管一筋一筋まで、丁寧に造り込まれていた。瞬きすら出来た。鼻筋は華奢で、呼吸の度に小さく膨らむ。白い首筋は、声を発すれば震え、撫でられれば赤くなる。指先の関節は全く目立たず、——いや、止そう。彼女の、あまりにも人形離れした美しさは、一言書き記すだけで事足りる。

profile

自己紹介

ペンネーム:風野 湊(かざの みなと)。1990年4月29日生。旅先で猫を愛でつつ読書に耽れたら幸福。
バックパックにかならず詰めるのは、宮沢賢治詩集、長田弘紀行文、P.ロスファス『風の名前』。
執筆のお供はポメラDM20からMacBook Airに変わりました。書きつづけています。
→もっと詳しく(aboutページへ)

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